シロヤシオ・ミツバツツジと傷ついたカモシカ (2008年5月24日)

PL:清水
びしょ濡れのカモシカが、正面からこちらに向かって突進してきた。

雨が降っているわけでもない。
早戸川を渡渉してきたのか、小牛ぐらいの大きさだ。林道の左側に車を寄せ停車し見守った、カモシカは一瞬立ち止まった。
「もどるべきか、進むべきか?」
カモシカの目と、目があった、正面からは軽四輪がこちらに向かってきている。
「早く林道を走って山に帰ってくれ!」と自分はつぶやいた。
カモシカに通じたのか、車の横を通り抜け、馬のようにパッカパッカと大きな足音をたて、素早く通り過ぎた。
よくみると前足が折れている。
今後、山で生きていけるのだろうか?帰り道、気分が重くなる。
(明朝、「山の動物に詳しい先生に聞いたがカモシカは鹿と違って丈夫だろう。」との事、ホット胸をなでおろす。)
雨を心配しながらシロヤシオとミツバツツジを観に行った帰り、
いつもの美味しい湧き水を汲んで三日月橋から2、3分過ぎたあたりでの出来事だった。

朝8時ごろ丹沢観光センターから丹沢山に向かって尾根伝いに登った。
廃墟になった炭焼き釜跡を通り過ぎ、仕事道を進み登り始めて4・50分しただろうか?
遠くからこちらをジッート見ているような視線を感じた。いたいた、
可愛い顔した小羊ぐらいの、白い毛をまとったカモシカが此方を見ていた。
カメラを取り出したが、プイと頭を沢の方に向けて隠れてしまった。
子供カモシカは警戒心が強そうだ。

ある場所に山椒の小さなちいさな黄色い花が咲き乱れていていた。
連休、飯豊の石転び沢以来、久しぶりだったので息が切れ、とっつきは足が重かった。
本間ノ頭、無名ノ頭、円山木ノ頭、大礼ノ頭、瀬戸ノ頭と登ったり下りたりする、
その稜線の延長線上に丹沢山がある。
昔の修験者が通った道だ。この稜線にシロヤシオとミツバツツジが咲いている。
この季節、山から贈り物。

花々の明るいトンネルを通ると、急登の上り下りも気にならない。
シロヤシオは五葉ツツジと言うらしい――葉っぱが5枚ある。
ミツバツツジは葉っぱが三枚。しかし、よく見ると3枚ではないようだ。
ベンチで休憩していると空から雨粒がパッラパッラと落ちてきた。
とうとう降りだしたか。丹沢山から大柄な初老の男性が下りてきた。
塩水林道・堂平から登ってきたとの事、
「シロヤシオとミツバツツジは、今年も昨年もたいしたことない、
3年に一度綺麗に咲く、来年がいいかもしれない、雨が降りそうなので早く帰る。」
と言って、さっさと降りていってしまった。せっかくだから丹沢山まで行った。
霧がかかり周りの風景は芳しくないが、空が多少明るくなり雨はやんだ。

帰りは途中まで戻り、大滝新道から雷平、伝道、車止めに戻る行程だ。
途中、何だかおかしい、沢音がいつもと逆から聞こえる。尾根を一つ間違えた。
降りた急登を登り返し、正しい道に戻った。白銀の世界に登った時と比べて新緑が生い茂り風景が変わってしまった。
大滝から雷平の沢は大雨の影響で踏み跡が消えている。
雷平から伝道までの丸太橋は多分、流されているだろうな、
などと考えながら歩いていると、大きな体長1メートルはありそうな蛇が日向ぼっこをしていた。
此方を察し、にゅろにょろと動いた。

案の定、丸太橋が流されていた。靴と靴下を脱ぎ、肩からぶら下げ、ザックの中身を防水使用にするため、
ビニール袋に入れた。まだまだ水は冷たく、足が凍えた。
渡渉後、靴・下靴を履き直し、次の橋まで歩いた。最後の丸太橋も流されている。
靴・靴下を脱いだ、やはり冷たい。ズボンも濡れたが速乾性のため直ぐ乾いた。
平戸から御屋敷までの家々の街路に咲いていた花々は散って新緑の葉が、こもれ陽に輝いていた。
清川町役場辺りから、雨が降り出した。雨に濡れず、附いていたが、冷たい沢に、2回も入った。